平和とは何か -積極的・消極的-平和
- sekaibanheiwanoish
- 3月5日
- 読了時間: 3分
先日ブログで更新した”積極的平和志向”に関連して、
故・大田昌秀元沖縄県知事が世界版平和の礎を考える会(提案する会の前身)の第2回シンポジウムで、学生たちを交えたパネルディスカッションの際に語られた、「本当の意味での積極的平和とは」を紹介したい。(年次レポート2015より引用)

(2013年10月6日に開催された第2回シンポジウムの様子)
本当の意味での積極的平和とは
大田:若い人たちの話を聞いて、申し上げておきたい。平和とは何かという問題がいっぱい質問で出ましたね。学問的には、平和とは何かという問題、これをどう考えるかということについては、世界的に有名なノルウェーのヨハン・ハガルトゥングという偉い学者がいまして、この人の研究が日本の平和研究学者にもだいぶ影響を与えていて、私なんかもだいぶその人から教えてもらいました。この人が沖縄に招かれて、国際大学で国際平和文化シンポジウムというのをやった時に私が県にいまして、対談したことがあるわけですね。この方は20代でノルウェーで国際平和研究所を開いて大変世界的に有名な方ですが、この人が平和とは何かということを学問的に明確にしているわけです。一般的には平和とは戦争のない状態をいってるわけですね。一般ではそう理解されています。しかし、ヨハン・ガルトゥング先生は戦争というのは直接的暴力と規定して、直接的暴力がないことは、むしろ消極的な平和をつくる未知であって、積極的な平和をつくるにはですね、男女差別があるとか、学校のいじめの問題とか、それから他の文化圏の人々に対してね、例えば日本人が朝鮮・韓国の人々に対してヘイトスピーチをやるとかですね、他の文化を劣ったものとみるとかですね、経済的な格差があるとかですね。そういう問題を構造的暴力というふうにいって、その構造的暴力をなくすことこそが、積極的に平和を作る道だということをはっきりと言っているわけですね。今、学問的には、一般的には、平和とは、戦争のない状態をいうわけだけども、これはむしろ積極的な平和の作り方という。なぜかというと、戦争がないといわれてきている、国連ができて世界中で戦争をやめようとしているけど、それでも、例えば病気の問題ですね。全国的に病気が流行る、これは社会的に病気が流行るわけですね。これは軍事力では解決できないわけですよ。男女差別の問題にしても、所得の格差の問題にしても、軍隊では解決できない問題なんですね。ですからそういった意味で構造的暴力を解決する。つまり、ヘイトスピーチを他の国の人に言ったりしない。男女差別を許さない、学校のいじめを許さない、一方は大金持ちになって他方は仕事さえないという、そういう状態を許さない。これをやることこそが本当の意味で積極的な平和をつくる道だと言ってるわけですね。
平和とは何か。
2025年の今、ここ数年続いた大規模な軍事的、直接的暴力による戦争が停戦の兆しを見せてきている。
依然として全世界的に余裕のない状態と言えるなか、自国優先主義が先行し、また全世界的に貧富の経済格差は拡大する一方である。
余裕がない時ほど人は誰でも判断を誤ることがある。過去の歴史や学びを振り返り、無意識に消極的な平和志向に陥らないよう努めていきたい。
事務局K
Comments