世界版「平和の礎」のルーツ
- sekaibanheiwanoish
- 3月22日
- 読了時間: 5分
更新日:3月26日
-命どぅ宝! 沖縄を再び戦場にするな!-
NPO法人世界版「平和の礎」を提案する会の設立趣旨書の冒頭に記している言葉です。
この思いを胸に、沖縄から世界平和に向けた新たな取り組みを始めるべく、平良氏が第3回シンポジウムで語った世界版平和の礎のルーツ、イメージについて、過去の活動記録の資料を基に改めてご紹介したいと思います。

原案提唱者の平良良昭について
1944年6月読谷村生まれ。沖縄本島北部のやんばるで長年農業を営む現役農家!
生後4カ月足らずで10.10空襲に遭う。
当時21歳の母に抱きかかえられ壕の入口で機銃掃射を浴びせられるも幸いにして難を逃れる。その後、およそ2年8カ月もの難民生活を過ごす。故郷に帰り着いた時、3歳と6ヵ月になっていた。
自分自身の記憶はその頃からだそうです。それまでのことは、家族・親族から折に触れて当時の記憶を継承することとなったのです。
世界版平和の礎のルーツとは
この構想の考案者である共同代表の平良が「平和を希求する実践」について三つのレベルの継承実践が融合して「世界版平和の礎」のイメージが生まれた、という風に説明をしている。
① 自身・同級生の有志達による家族の戦争体験を継承する実践
家族の体験・記憶の継承は平良の同期生100人あまりが集団的に実践し、アンケートとエッセイによるその成果が書籍『赤ん坊たちの<記憶>』としてまとめられた。この集団実践というきっかけが無ければ、「世界版平和の礎」のイメージも生まれることはなかった。

② 県知事をはじめとした県民全体による「平和の礎」についての学習、継承の実践
二つ目の実践である「平和の礎」についての学習、継承においては一つの思いが生まれる。
国籍、敵味方、軍人・兵士・民間人の区別・差別をやめ、全ての沖縄戦戦没者を刻銘した「平和の礎」の思想と方式は、さりげなく表現されているけれど、じつは人類の社会思想上の偉大な一歩、と言えるのではないか、と思うようになる。
「平和の礎」を建設した当時の大田知事をはじめとした県民全体の実践がなければ「世界版平和の礎」のイメージは生まれなかった。第二回シンポジウムでは大田先生の講演で、<沖縄の平和の礎の理念と方式>について学び、みんなで継承しようと試みた。

③ 人類全体の戦争体験と平和を希求する実践についての学習
三つ目に人類全体の戦争体験と平和を希求する実践について学習していく中で、先の二回の大戦における戦争死者が一億人に迫るという数字に驚愕する。
一方、沖縄戦終結の三日後の6月26日に完成したという国連憲章前文「われら連合国軍の人民はわれらの一生のうちに二度までも言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代の救い」という一節、そして「寛容を実行し、かつ、善良な隣人として互いに平和に生活し、国際の平和および安全を維持するためにわれらの力を合わせ、共同の利益の場合をのぞくほかは武力を用いないことを原則の受諾と方法の設定によって確保し、…」という一節に、ピープルの立場からこれを起草した人々の深い悲哀の心とそれを抱えて立ち上がる強い平和希求の志に感銘をうける。
そして、それにも関わらず人類の中で戦争がまだ続いている現実。国連が様々な課題と限界を抱える進化途上の機構である一方、人類の希望を荷う侵略戦争防止機構、平和機構として機能できることを学ぶ。
EUもASEANも平和構造としてその域内での戦争を廃絶し、平和を創造しつつあるではと思えました。人類全体も営々たる平和の努力とその成果を積み重ねていると実感できるようになりました。「人類の悲願」といわれる「恒久平和」。それは創造されつつある、道半ばとはいえ、1945年になかった現実が築かれつつある、そう思えました。それは希望を与えてくれました。
この三つのレベルの継承、学習、施策の実践が融合するなかで「世界版平和の礎」のイメージが生まれました。それは世界の恒久平和に大きく貢献できるはずだ、と思えました。
2010年代を経て、多くの友人たちとの意見交換の中で少しずつ、このイメージは育ち続けています。最終的には沖縄県全体のプロジェクト、そして世界のピープルと自治体のプロジェクトと呼べるレベルまで育てたいと思います。そうでばければこれは実現できない、と思います。
世界版平和の礎とは
20世紀、21世紀の、この110余年間の全世界の全ての戦争被害者(戦争死者および戦争負傷者、戦争避難民、その他多様・甚大な被害者)の名前を、命の象徴である名前を、インターネット上に建設された「世界平和の礎」に記録・登録・刻銘する。
戦争死者、被害者の名前一つひとつにページをつくり、その人の生と死、エピソードなど、本人・家族・親族・子孫の証言を記録する。
戦争と平和創造に関する記録・映像資料・研究・文学・芸術遺産・思想遺産など、学びの場で共有する。
戦争の歴史の繰り返しを許さない強力な歯止めとして、戦争被害の実像と大きさを可視化し、戦争体験と平和希求の全世界的な世代間継承を目指す。
全ての戦争の犠牲者・被害者の受難を生き残った私たちとその子孫世代が追悼の念を持って、恒久平和時代の原点として意味のあるものへと転換させる。

事務局K
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